続・てるてる日記

石井てる美です。ワタナベエンターテインメント所属のピン芸人。てるてるB面。

私が思う"ワタナベ芸人"が次々ブレイクする理由

先日はお笑いライブ「ショーゲキしもきたドォ〜ン!」に出させていただきました!いや〜スケートがよく滑って前人未到の5回転ジャンプが決まるかと思いました。さすがザギトワ選手。

後輩のTOYのお二人!いつも独創的な世界観で見る人を虜にする2人。

ザギトワ選手似てねぇw


そして、二の腕パンパンおじさんことせつこさんの旦那さま、ゆるえもんさん!



さてさて、唐突ですが、今日はタイトルにある通り「"ワタナベ芸人"が次々ブレイクする理由」について私が思うところを書きたいと思います。数年前までは「ワタナベエンターテインメント所属」と言うと「なんで吉本じゃなくてあえてワタナベなの?」(その理由は私が会社を辞めたちょうどいいタイミングで入れる養成所がワタナベだったからなのですが)というようなリアクションが普通でしたが、昨年くらいからは「最近ワタナベすごいよねー。」という反応が専らになってきました。もう明らかに今までと違うのです。それもそのはず、こんな記事にもあるように、本当に多くの先輩後輩芸人がここ数年で次々とスターダムを駆け上がって行きました。そしてその理由を訊かれることも度々あり、私なりに思うところがあるのでたまにはそんな話でも書こうかと思った次第です。売れてない私が書くのもなー…とか、こういう評論家っぽいことを芸人である私が書くのもアレだなー…とも思いますが、中にいる人間として気づいたところがあるのでここは気にせず書くことにします。


私が思う"ワタナベ芸人"が次々ブレイクする理由は3つ。

1.作家さんが否定しない
2.ふざけられる仕組みがある("1分ネタライブ"の存在)
3.とにかく雰囲気がいい


ひとつずつ見ていきます。

まず「1.作家さんが否定しない」について。今ワタナベのお笑いライブは一番上のライブから下までとあるベテラン放送作家さん(調べればすぐ出てきます)が監修して一つひとつネタをチェックしています。その方がまぁ"否定のための否定"を絶対にしないのです。例えば、何をしたいのか分からなかったり、全く笑いになっていなかったり、ネタとして扱えないものが入ってたり、あまりにもチャレンジ要素が無い、というようなネタに対してはもちろん適宜指摘したり修正はしてくださいます。ただそうではなく、何かしら新しいことにチャレンジしていたり、今まで見たことないものを表現しようとしている芸人に対して、"好きじゃないから"とか"見たことないから"という理由で頭ごなしに否定するようなことは絶対に言わないのです。(むしろ新しいことしてなさすぎる方が怒られる。)どういうことかというと、逆に言うと、ライブのネタ見せやテレビのオーディションで頭ごなしに否定してくる作家さんとかスタッフさん(有名な番組のお偉いさんまで)がめちゃくちゃいる(いた)のです。(そしてその人の言うことって別に合ってないんですよ。そのネタやその芸人さんが時を経て花開いたりするんですよ。何にいつ火がつくかなんて本当に分からない。プロと言われている人たちにもそれは予見できない。でもこちら若手芸人はそういう"分かってそうなギョーカイジン"に言われたことのトゲってものすごく深く突き刺さるから、「自分が間違ってるのかな」って自信無くしたりするんですよね。んで言った方はおそらく言ったことすら覚えていないんですよね。その人のその気まぐれなひとことで若手芸人がそのネタを封印してしまったらどう責任取ってくれるんでしょうね。でもですね、そういうのも含めて芸人は常に試練に立たされていて、「それでもそのネタをやりたいか、それでも自分のネタを信じるか」を試されているんだと思えば、ありがたい洗礼なんですけどね。)私も、ヒラリーのネタを大統領選の1年前にとある番組のオーディションでやったときに「そんな顔芸だけで笑わそうなんて甘いよ。きみ東大出てるんだね。東大だから自分を捨てきれてないんじゃない?」と言われたことがあります。

…こんなフル装備でコスプレしてこんな顔してるのに、ですよ?(こんなことやってる東大出身者いないと思うのだが。もちろんコスプレ=自分を捨てている、ではないにしても。)いや別に「ネタが面白くない」とか「顔芸だけじゃ笑えない」とか言われるなら全然分かるけど、それと東大はネタ見せで全く関係無いし!!こんなにヒラリーネタも否定され、芸人としての私も否定され、その時点で私がヒラリーネタやめてたら、ヒラリー落選云々以前にヒラリー芸人として少しだけでも話題になった私もいなかったわけだから、本当に恐ろしいことを人は簡単に言うもんだなーと思います。でも芸人は結局全て"自分次第"なので、こういう洗礼も含め「自分がどうしたいか」を自分で決めてそれを信じる力が無いといけないんですけどね。ちなみに大ブレイクした芸人仲間にも、ブレイク前にオーディションで全否定されたという例をいくつも知っています。なので、売れる人は何を言われても自分の信念を貫くので、全否定をする人は避けて通れないしそれを潜り抜けてこそ芸人は強く逞しくなっていくことを思えば、オーディション先でそういう"全否定屋さん"にたまに遭遇するくらいだったらいいのでしょう。しかし、やはりそういう人が毎月芸人が挑む"事務所のネタ見せ"にいないというのはとても重要なことだと思うのです。今ワタナベのお笑いを担当している作家先生は可能性の芽を早期に潰すようなことは絶対に言わない。新しいものを提示して「そんなのお笑いのネタじゃない」とか絶対に言わない。ネタ以外の人格や性格を攻撃するようなことももちろん言わない。世の中が「ヒラリーってなに?」っていう時期でもヒラリーネタももちろん否定しなかった。「これネタって言うかなぁ?」というようなものでも全否定はしない。だから「何やってもいいんだ」「もっと型破りなこともやってみよう」「もっと好きなことやろう」「もっと自分を出してみよう」という"今までどこかで見たことあるもの"ではない何かを目指して従来の型に捉われない自由な挑戦をしやすい空気が醸成されてきたのだと思います。予想以上に長くなり、途中まさかの愚痴を挟みましたが、この"否定しない作家先生の存在"が私が思う理由その1。


さて、次に「2.ふざけられる仕組みがある("1分ネタライブ"の存在)」です。お笑い芸人をやっていると毎月の事務所ライブに向けて毎月新ネタを作るというのが基本的なルーティーンになります。3分尺のいわゆる「本ネタ」を披露するライブ、これは私が事務所に入ったときから存在し、多くの事務所も同じような感じだと思われます。それに加えて、何年か前から"New Comer! Friday Night"という1分尺のショートネタをやるライブが設立されました。(つまり月にネタを2つ作って披露する場がある。)そこでは3分ネタ以上に"何をしてもいい"感が溢れています。むしろ"せっかくだからここでこそもっとふざけないと感"すらあります。3分の「ちゃんとしたネタ」ではできないおふざけ、いつもは組んでいない芸人とのコラボ、とにかく何をしても自由なのです。そしてこの"コラボ"が許されたライブがあったからこそ生まれたユニットがまさしく"ブルゾンちえみwithB"なのです。すごい発明じゃね!?!??(そしてビッグネームを出すことによる説得力たるや!!笑) 私も芸人人生でネタの調子が良かった2014年下旬は「3分ネタライブ」で"ヒラリー"をやり、「1分ネタライブ」で"言いづらいことを英語っぽく言う"ネタをやっていました。"言いづらいことを英語っぽく言う"ネタは1分ライブで無事にウケて、ちょうどそのときオーディションのために来ていた「さんまのまんま新春SP」のスタッフさんの目に留まり、私のネタでのテレビデビューが叶いました。このネタは仲の良い先輩芸人さんとの「"うんこ"って英語っぽく言ってみてよ。」「ウンコーウ♪」「いいじゃん、それネタにしなよ!」といういい大人がする会話とは思えない会話から生まれたわけですが、「ただ下品なことを英語っぽく言うだけのことが"ネタ"になるのか??」という当初のギモンを解消してくれた場が1分ネタライブでした。そしてゆくゆくは5分くらいでも平気でできちゃうネタへと成長しました。いきなり3分だと構成とか考えないといけないから難しいけど、ちょっと気軽に短い尺で試せる、という意味でもこの1分ネタライブはものすごくよくできたシステムだなと思うのです。いいアイディアは真剣に云々考えているときよりも、ふとリラックスして自由な発想ができる状態になったときに降りてくるみたいなことが言われますが、それを可能にしたのがまさにこの1分ネタライブという仕組みなのでは、と思っております。それも"1分ネタライブだけ"でもダメ。3分ネタライブがあってこその1分ネタライブ。「自由な挑戦がしやすい環境」が整えられたという意味では1.にも通ずるものがありますね。


そして最後に「3.とにかく雰囲気がいい」です。私が事務所に所属したばかりの6年前と比べて今は断然雰囲気がいいです。いい人が多い、いい雰囲気の中だからこそ、年次に関係なく萎縮したりギスギスすることなく、各自が創造力を発揮して自由に挑戦できるんだと思います。

最後力尽きた感が満載ですが…以上が3つの理由です。


よく「事務所の力」という言われ方がありますが、事務所は芸人が挑戦しやすい環境を整えてこそくれますが、ネタを作るのはあくまで各自の芸人たちです。そこまでは事務所がやるわけではありません。ただ、芸人が各々の才能を伸び伸びと発揮して挑戦しやすい環境を作ってくれているという意味で今のワタナベは最強なんだと思います。

私が今の立場でこういうこと書くのもアレですが、アレなりに、思うところを書いてみました。あくまで、私の主観です。あースッキリ。おやすみなさい。





-----告知だよ-----

<出演情報>

毎週木曜日 21:00〜23:00 AbemaTV「AbemaPrime」
スマホで見るテレビAbemaTVのAbema Newsチャンネルの生放送のニュース番組「AbemaPrime」、木曜日レギュラー。「てる美にTell Me 〜全国オモシロ企業の秘密〜」「テルミーも転職したい マスコミの現場」「グレーな経済学」担当。次回は3月22日(木)です!


毎週日曜日 21:00〜21:30 ラジオNIKKEI第1「シューカツHANGOUT!」
就職活動とインターンシップをメインテーマにした、メインパーソナリティーを務めさせていただく就活生応援ラジオ番組です!ホームページから番組へのメールもお待ちしています!次回は3月25日(日)です!


木曜日(不定期) 8:00〜9:50 フジテレビ「とくダネ!」
得する情報をお届けする「木曜のおぐら家」レポーター🎤


金曜日(隔週) 13:45〜15:50 フジテレビ「直撃LIVEグッティ!」
パネラーとしてだいたい隔週で出演させていただいています。


3月25日(日)「ジョシ全開 vol.38」
開場15:45/開演16:00、場所:新宿ハイジアV-1(地図)、チケット:前売1,200円/当日1,300円


4月6日(金)「笑いの泉」
開場18:45/開演19:00、場所:なかの芸能小劇場(地図)、チケット:1,000円


4月8日(日)「新年度U&Cセレクション」
開場12:45/開演13:00、場所:新宿ハイジアV-1(地図)、チケット:前売1,300円/当日1,500円


4月13日(金)「〜春から縁起の良いお笑いライブ〜 なかの大安寄席」
開場19:10/開演19:30、場所:(中野スタジオtwl地図)、チケット:前売1,000円/当日1,300円


4月14日(土)「ショウワショウジョ vol.16」
開場17:45/開演18:00、場所:新宿Fu(地図)、チケット:前売&当日1,000円
中村涼子さんとハルカラちゃんのお笑いトークライブに呼んでいただきました。ネタではなくトークコーナーの出演です。


4月23日(月)「笑いの輪」
開場18:45/開演19:00、場所:なかの芸能小劇場(地図)、チケット:600円


4月29日(日)「ジョシ全開 vol.39 〜入れ替え戦〜」
開場18:45/開演19:00、場所:新宿バッシュ!!(地図)、チケット:前売1,200円/当日1,300円



<著書>
2018年1月10日発売。5年前の著書が文庫化されました。

2013年7月10日に発売された著書です。中国語バージョンもあります。


<ネタ動画>

「有田ジェネレーション」より「ヒラリークリントン」(9:25〜)

「有田ジェネレーション」より「ヒラリークリントンのヒラリーラップ」(2:22〜)

「言いづらいことを英語っぽく言う」

「セックスアンドザシティのサマンサが気になる日本史ワード」


<インタビュー掲載サイト>
●キャリアインタビューサイト『MY CHOICE』
●クリエイターと読者をつなぐサイト『cakes』
●20代の“はたらき”データベース『キャリアコンパス』前編 後編
●電子ブック楽天kobo『気になるあの人の読書生活』
●知的好奇心をくすぐる、大人の英語学習マガジン『Cheer up! English』前編 後編
●東大卒業生の総合サイト「東大の女性達へのインタビューコンテンツ」『王道ルートでなくても、チャレンジを!』
●NHK解説委員室ブログ「視点・論点『シリーズ・人生再出発 他人の目なんか気にするな』
●キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト『リクナビNEXT JOURNAL』
ダイヤモンド社のビジネス情報サイト「あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか」著者津田久資氏との対談(上)(下)
朝日新聞デジタル『センター試験中鼻血どばーっ!お笑い芸人石井てる美さん』
●20代の“はたらき”データベース『キャリアコンパス』『元マッキンゼーのお笑い芸人・石井てる美の人生に影響を与えた3冊の本とは』
リクナビNEXTジャーナル『芸人・石井てる美 大切なのは、流されず自分自身を信じること』
●ハフィントンポスト日本版「ヒラリー芸人・石井てる美の人生を変えた外資系企業での挫折『今のピンチこそチャンス』」
外資就活ドットコム「マッキンゼーで学んだ『鈍感力』の大切さ〜コンサル出身のお笑い芸人・石井てる美が語る『超トップ企業の内実』」
毎日新聞「今年こそ」『キャリア捨て人生の主役に お笑い芸人・石井てる美』
アルク リレーコラム夢をかなえる英語『未知の世界への魔法の鍵 Vol.12 お笑い芸人 石井てる美』
日経新聞電子版 NIKKEI STYLE キャリアコラム「東大卒の『女芸人』就活生憧れの企業で学んだ挫折



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